六所舞台
- 2019.04.23 Tuesday
- 13:01
4月とは思えないような陽気が続いています。
季節の移ろいがだんだん極端になっているような気がしますが、自然界の生き物たちは、体内時計が正確に働いています。
多少の誤差はあっても、花はだいたい同じ時期に咲かせ、虫たちも顔を出す。
六所神社 下宮。
何気ない草花が、春をしっかりと主張してくれます。
まずはお参り。
静かな六所神社は、様々なものが研ぎ澄まされていく感じがします。
日なたはとても暑いのですが、農村舞台の中はちょうどよい風が吹き抜けていきます。
座ってまったりしていると、すぐ側のおうちのオジサマが声をかけてくださいました。
「昔は、10月10日になるとそれは賑やかなお祭りが行われてね、豪華に着飾った馬たちが集まってこの舞台の周りを歩いたんだよ」
秋の大祭がとても盛大で馬が集まっていた事は知っていましたが、それを見ていた人からお話を聞くと、無意識のうちにその光景を想像していました。
私が座るこの舞台の周りを、綺麗な衣装を着けたたくさんの馬たちが練り歩いていた。
まるで錯覚が起きたかのように、目の前を馬たちが列をなして通り過ぎていく。
足音まで聞こえてきそうなくらいでした。
本心で「見てみたいですね」と言うと、嬉しそうな、寂しそうな表情で頷かれました。
モミジの葉があっという間に開いてきて、この舞台が一番美しく見える季節がやってきました。
馬のいななきの代わりにたくさんの鳥の声が聞こえます。
トビの声を久しぶりに聞きました。
ウグイスはまだ練習が必要そう。
センダイムシクイの声があっち行ったりこっち来たり。
この地に立つと、なぜかいつも特別な気分にさせてくれます。
今日は、ずいぶんと昔にタイムスリップすることができました。
春の陽気と風が、私をタイムトラベラーにしてくれました。